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人生の大切なことは全て暁星国際の寮で学びました。第13回

㈱博報堂プロダクツ  プロデューサー
村井繁夫(暁星国際学園第9期生)

1,寮生活を送ったことが社会でどのように生かされていますか。
<あいさつ>
今から、35年前、今では想像できないくらい周囲に何もない木更津の山の中の学校で「こんにちは」、「こんにちは」見ず知らずの、中学生、高校生が私たちをこんなかたちで迎えてくれました。しかも、決してわざとらしくない心の伝わる自然な大きな声で。
12歳で暁星国際学園(中学校)へ入学した私にとって他の学校との違いはこのあいさつからでした。
入学後、このあいさつが自分にとってもごく当たり前の行為になり、卒業し、大学、社会人となり、このあいさつだけでどれだけ自分が助けられたか数知れないほどです。社会に出ても、当たり前の行為である、あいさつができない人が増えています。暁星国際では当たり前として刷り込まれるこのあいさつが社会においては仕事以前のこととして重要視されています。
暁星国際では、この「あいさつ」という伝統が卒業生に脈々と刷り込まれており社会で活躍されている諸先輩をはじめ、珠玉当然のこととして受け継がれているものです。

<人との間合い 相手への気配り、目配り、心配り>
寮生活は集団で生活する行為です。寮というと何かとイメージばかりが先行しがちです。
ミッション系のドミトリースクール、規律が厳しすぎる生活 等・・・イメージや現象でいえば、捉え方は人それぞれかと思いますが、私が体感した暁星国際での寮生活は、相手への気配り、目配り、心配りを日頃の生活で習得できる環境であったと思います。先生方、先輩方、仲間、後輩、と24時間話す機会は大変多く、相談、口論、泣き、笑い・・・寮には数えきれない感情が交錯しています。それでも独りよがりな態度をとる人たちはあまりいなかったように思います。当時は、帰国子女の仲間がいることも珍しい世の中ではありましたが、帰国子女の仲間はよく「自己主張しすぎ」等といった場面も少なからずありました。しかしこれは今から思えば、多様性の走りだったのかもしれません。
そんな時代でも、当時の我々は、「受け入れる」ことが自然とできていました。
なぜなら、みんなで寮生活を営んでいるからです。受け入れなければ生活はできないとみんながあえて言わなくても自然とできていたのです。今、社会にでると、「あいつは○○だから」とか「あの人は○○だからわかってくれないんだ」など
他人を認める空気と自分への理解に努める人が減っています。暁星国際の寮生活で、相手を受け入れる免疫を身に付けさせていただき社会生活、特に結婚生活(笑)においての武器を与えていただいたと感じております。

2,寮生活で得た大切なものは・・・・
<Family>
当時共に過ごした仲間は、何かあれば結束する不思議な家族なのです。日頃はそれぞれの生活を営んでいますが、仲間に何かあればなによりも優先して支えることが当然の関係。この歳になってもかわらないDNAです。
成長とは、できなかったことができるようになることです。ただ、寮生活においての成長は、ご両親、ご兄弟とではなく
寮の仲間とその場で分かち合える成長なのです。喧嘩、対立、嫌われる、人気者になる、笑われる、泣かれる、喜ばれる
悩む、くじける…様々な感情が溢れる生活が24時間が存在しています。つまり、社会に出る為のたくさんの免疫をつけられるチャンスの場が寮生活なのです。ちょっとやそっとじゃくじけない耐性を暁星国際という学校は身に付けてくれる学校です。

3,寮生活の良き思い出は・・・・
<暁星国際はいまだに進行中です>
今から、30年前の思い出や出来事といえば本当に多すぎて語り尽くせません。
当時は、男子校でありましたし関わっていただいた先生方、先輩方は皆さんが伝え方が怖いながらも兄貴的な愛がありました。見守ってくれている、目配りをもった方々が多かったことを実感します。
見て見ぬ振りをしない、その場で「ダメなものはダメ」と言ってくれる。言ってくれるならまだしも、何しろ、「察するチカラ」を育んでいく風土が寮にはありました。「みなまで言わすな」という空気。正解は誰も教えてくれませんから色々と考え、試行錯誤を繰り返した記憶があります。毎日が24時間ドキドキの冒険をしているといいましょうか。
伸び伸び自由ということではなく学校生活、青春時代の自主運営というものがそこにはありました。ある意味、今の方々よりは良い時代に寮生活をさせていただけたと感じます。

とにかく、社会には様々な出来事、毎日が待っています。違う学校に行っても
先生方、先輩方、仲間、後輩、学校生活はなによりも忘れられないこととなるでしょう。
ただ、暁星国際は、社会に出る前に本当にたくさんの言葉では言い表せない多くの、「人生免疫」を与えてくれる場所となることは間違いありません。価値観が多様化し、人間どうしの関係も複雑になり、さらに今後多様化する中、社会に役立つ者としての最高のDNAを自然と身につけられる場所がここにはあると思います。
それが、暁星国際の目に見えない伝統だと私は思います。

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