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人生の大切なことは全て暁星国際の寮で学びました。第9回

株式会社インフォマート  顧問
株式会社ファイバーゲート ゼネラルマネージャー
濱野将豊(暁星国際学園12期生)

入寮の日
12歳の春。1学年上の兄に連れられ北海道の田舎からはるばる木更津駅に降り立ち、タクシーの車窓から望む景色がみるみる自然に満ち溢れた風景に変わってゆく。走ること30分。やがて堆肥の匂いと共に田園風景に突如現れた要塞のような施設へと続く坂を登り始めた。既に受験の際にも当然来ているのだが、いざ入寮となると不安と緊張からかネガティヴな印象が強く出てきたのを鮮明に覚えております。
多感な年頃の個性豊かな男子100人との共同生活の始まりです。
当時、中学生は16人部屋でゲーム・マンガなどは持ち込み禁止。寮に1台あるブラウン菅TVは先輩諸兄がほぼ独占状態で低学年の我々は一緒に座ることすら勇気がいる雰囲気でした。だからこそ後に先輩方にやさしくして頂けるとその温かみがより一層味わえるのですが・・・。これもあとから気づくことですが、喧騒から離れある意味世の中から隔絶された世界だからこそ、礼節・規律と協調性を自然と身につけることができたのだと思います。
ただ不思議と窮屈感は全く無く、所謂ON/OFFが明確なメリハリのある世界でした。

ある時は100名収容の自習部屋で各自勉強した後、22時の自習終了と同時に就寝前の僅か15分で汗だくになりながら部屋対抗の仁義なき枕戦争(ただひたすら枕で叩き合う)へ突入。海外生活が長くほぼ外国人みたいな帰国生の友人が叫ぶスラングが飛び交う中、鼻血を出すくらい暴れても何事も無かったかのように22時15分の消灯時間には時間通りに床に着く。
TVもゲームも無い中で気づかない内に100名の個性が強烈に繋がって行くのです。親元にいれば経験できないようなこの特異な日常が、今では私の糧になっていると感じます。
親のごとく厳しくも愛情に溢れた先生方に見守られながら、中学高校から親元を離れ、不便さの中で両親、家族のありがたみを深く感じながら生活力を身につけ、常に同世代の同期、先輩、後輩と生活を共にすることで、人を思いやり、時に衝突しながら社会性を身につける。
AIなどに代表される技術革新が加速度的に進むこれからの時代は、逆に人どおしのコミュニケーション能力が問われることとなるでしょう。そんな今だからこそ、様々なシーンで活躍する卒業生はこの暁星国際学園の寮で培われた“人間力”で社会に貢献しております。
その礎となるもの、私たちの最大の財産は、全国…いや世界に寝食を共にした個性豊かな家族がいることです。

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